COSの活動に向けて
建設業、特に専門工事業を中心とする中小建設業は将来、オリンピック需要以降の展望が見えない中で厳しい経営が予測されます。ピーク時に83兆円あった建設投資額は、平成27年度には約48兆円とピーク時からほぼ半減し、今後も建設需要は、短期的には回復する見込みはないと思われます。また、建設技能員や管理者不足は益々深刻になりつつあります。このままでは、多くの中小建設業は一層の淘汰が進み、地域経済や地場雇用を支え地域防災をも支えてきた役割にも終焉を迎え、日本のインフラ整備に大きな影響を与えることが懸念されます。今こそ、中小建設業は自立する方策を真剣に考え、自主的に新しいマーケットへ踏み出していく時代がやってきました。
中小建設業の中には、海外でも通用する付加価値の高い技術を有する会社、独創的なアイデアで積極的に海外マーケットを視野に入れている会社、品質管理(職人技術)・納期遵守・原価管理等の高度な管理能力で海外に挑戦しようとする会社があり、勇気と覚悟を持って海外へ「一歩の踏み出し」(Fly over the Fence)を開始しました。反面、海外活動の経験が少ないため、経営的、技術的ノウハウが蓄積されておらず、活動に際しての専門家の実務支援や助言を必要としている多くの会社があるのも事実です。
また、海外の発展途上国には、まだまだ遅れているインフラ建設技術や工事管理能力、また各社が有する付加価値の高い自社特殊技術(推進工法、地盤改良、PC、建築特殊工法、特殊建材、和風建築庭園、防災、省エネ等々)を日本からの導入を求める声は高く、ビジネスマッチングの仲介を含む技術交流の場が求められています。これから永い将来に亘って続いていく、発展途上国の無限大(∞)ともいえるインフラ市場において、日本の中小建設業の優れた建設技能、丁寧で誠実な施工能力が認められる日が、必ずや来ることを我々は信じて疑いません。
我々COS(コス=Construction Overseas Serviceの略)は、ゼネコンで長年海外事業に携わってきたOBや、中小建設業の指導を専門とする中小企業診断士(主に国交省アドバイザー等)等海外専門家が連携し、実務レベルでの指導や助言を通して、海外活動へ可能性のある中小建設業が、リスクを回避しながら円滑に海外マーケットへ参入していく実務レベルの支援を行うことで、内に籠りがちだった国内建設業の発展に寄与するものと確信します。
平成28年11月
COS代表 鐘江敏行
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